「Let's enjoy PA with Katman」イベント主催から見えた新しい可能性 三浦資子さん(ひめ)インタビュー 


教育現場で感じたもどかしさが始まりだった

伊藤:宮城県で行ったPAFUNNの広報イベントについて今日は聞かせてください。よろしくおねがいします。始めにPA(アドベンチャー教育)との出会いについてひめの経験談を聞いてもいいですか?

ひめ:平成12年度なのでだいぶ前なんだけど、担当していた学年の人間関係や友達関係を大変に感じたんだよね。なんだろう…見ていてもどかしい感じがして。その時に、宮城県でもPAプログラムを取り入れます!と広報にて載っていて。その頃にはまだMAP(みやぎアドベンチャープログラム)という名前がついたものを知らなかったから、これって何?って調べたらPAっていうものだった。それで南足柄にAP(アドベンチャープログラミングの講習会)を受けに行ったのが始めなんだよね。

伊藤:なるほど。じゃあ何か分からないけど、覗いてみようっていうのが最初だったんですね。そのぐらい困っていたということ?

ひめ:すごく困ってた(笑)

伊藤:そこでPAに触れてみてどんな風にノウハウを取り入れたの?

ひめ:それが3月のプログラムで。もっと勉強して、もっとPAっていうのに触れたいなって思って、調べたら宮城でMAPっていうのがあるよって知ったの。学校では時間がかかるから少しずつ取り入れていったんだけど…手探りだった。クラスで呼ばれたい名前を使えばいいのかな?でもな?とか考えながら。色々試してみたの。本当にこう…形から入って、体験してきたことを子供たちに返して、子供達の反応を見るっていう感じ。

伊藤:じゃあ、今は違うって感じなんですかね?

ひめ:今はアクティビティをするとかじゃなくて哲学を大切にしている。私の中でPAって生き方のベース。それをしたいというよりも、生き方(?)になりつつある。だから、人と関わるときに何をするか?私が大切にしていることが伝わればいいなって。それと、自分も相手も大事にするのだけれど、特に相手の環境を大事にすることを意識している。子供と接するときも先生方と接するときも、その人たちが活動しやすいような環境を作るためには何が手助けとしてできるかなって一番考えて。必要としているのであれば、アクティビティのことも少しお話して、そうすると「面白そうだね」とやってくれる人たちもいるんだよね。

伊藤:そうなんですね。学校の先生たちともPAを共有できる環境だったりするの?

ひめ:PAのことは知らないと思う。でも、宮城県だと初任者研修で必ずMAP体験会の時間があって、そこでアクティビティを2時間ぐらいやるの。だから、遊びは知ってる。その背景にある理念やアイデンティティまでは知らないと思う。

伊藤:話戻しちゃうけど、MAPはどんな団体なの?

ひめ:宮城アドベンチャープログラムの略称。最初は不登校対策で県の取り入れた活動だった。そこで先生の研修を4泊5日。それを合計3回するの。

伊藤:すごい!

ひめ:その方達は出張で。私はそうじゃなかったから自費なんだけどね(笑)。

伊藤:そうなんだ(笑)今回、PAFUNNの広報イベント第一号を企画したことと関連がありそうですね。


遊ぶだけじゃない、何を私たちは仕掛けるのか?

ひめ:PAの原点を若い先生達にも知ってほしいなあと思って。

伊藤:そう思ってたんですね。PAの原点回帰ですかね?

ひめ:学校にいる初任の先生も興味をもってくれたので、その若手で声を掛けあって参加してもらった感じだったのね。

伊藤:再考する機会が今の教育現場に役立つか知りたいところですよね。具体的にはどんな企画にしたの?

ひめ:プログラムは10時から16時ぐらいまでだったので、Katにおまかせって感じだった。遊びは楽しくて、そこにはこういう哲学があってとか、短い時間で伝えてくれるのはKatしかいないと思った。

伊藤:哲学的なものを今回のプログラムを通して誰かに伝えたかったのですね。

ひめ:そう、一緒に。私の中ではね、PAを一緒にする若手を育てたい。そこに火をつけたいなと思って。

伊藤:企画したプログラムはどうだった?

ひめ:時間はやっぱり短かったかなって。2日間ぐらい欲しかった(笑)。でも初回としては良かったと思う。

本当のプログラムだったら、それこそ段階的にアイスブレイクして、次にこれ!みたいなのがあるんだけど、そういうのではなくて、こういう場面ではこんなことが起きていてますよとか、アクティビティを仕掛けるのは、何を狙って仕掛けるのかってところが大事なのであって、とか。もう究極アクティビティしなくてもいいわけで…みたいな(笑)。

伊藤:なるほどね。

ひめ:とにかく、この活動で何を狙いとするのか?何を仕掛けていくのか?そこが大事なんだよっていう話を入れながら、身体動かしてた。ただ遊ぶわけじゃないっていうことがすごく伝わった感じがした。

伊藤:ひめは参加者として入ったのかな?

ひめ:私は企画。ビデオを回したり、資料をコピーして配布したり。

伊藤:裏方だったんですね。参加者さんの生の声で嬉しかったことはあった?

ひめ:アンケートで、PAFUNNの事がわかった気がすると言ってくれたり、PAってこういう熱量をもってて、思想・考え方があるってところが伝わったのはすごいかっ嬉しかったなぁ。

伊藤:ほんと嬉しいよね。いいよねって言ってくれるだけで嬉しいっ


継続することで安心して学べる場をつくりたい

伊藤:今回企画者ってことだったんだけど、ここちょっと大変だったなとかありましたか?

ひめ:まず会場が押さえられなかったので、勤務している学校の体育館でやったのね。来てもらうにはちょっと大変な場所で…。

伊藤:そうだったんだ

ひめ:宮城県はMAPがあって、色んな研修会・研究会の勉強会とかを無料で提供しているの。講師を呼ぶとなると経費がかかるからそこは大変だった。今回は講師の交通費だけ賄う感じだった。でも、集めるのにいくらで設定したらいいんだろうって迷った。

伊藤:そうだよね。

ひめ:よく分からないし、どうしようって思って…。やっぱりKatが来るなら、それなりの価格帯にしたかったけれど、知らない人たちには、Katの価値が分からないから、高い値段に設定するのも難しい。

伊藤:そう?宮城にはそういう勉強する場所がたくさんあって、充実してるように聞こえて素敵だなって思うよ。

ひめ:県の施設で何箇所かある。その関係者の方がMAPにもいらっしゃるから、そこを会場にして集まってとかあるの。

伊藤:じゃあ。今回、新しい風を送り込むのは大変だったね。

ひめ:MAPがあるのにわざわざ違うことするの?っていう…。Katが来るなら!って言ってくれる人たちは、もっともっといたんだけど、実際に集まったときには知り合いではない方ばかりでした。

伊藤:知り合いではない方が来るというのはすごい事だよね。

ひめ:山形からとか…

伊藤:すごい!

ひめ:山形は多かった。新潟や長野の方も。

伊藤:広報的なことは何かしたの?

ひめ:Facebookだけ

伊藤:それで!すごい。

ひめ:(笑)

伊藤:もっと話を聞きたいです。また聞かせてもらえますか?もし良ければ、今回のような企画を今後、行う方へアドバイスも貰っていいですか?

ひめ:仙台の周りで会場を借りようとすると、年度始めに教育団体として利用登録をしないと借りられなくて、年間の利用団体みたいな手続きが必要。じゃないと簡単には予約が取れないみたい。手続きのノウハウは私も調べなくちゃいけないんだけど、PAFUNNのメンバーと一緒に考えていけたらいいなと思う。

伊藤:なるほど

ひめ:あと、今回は現地で集金したのね。そしたら、コロナの関係とかで当日来なかった人もいて…。だから申し込みと同時に支払い出来るように、自動的に集められたらもっと見通しが立てやすいかなって。

伊藤:確かに。

ひめ:それと、定期的に開けたらいいなって。安心してその場で学べるっていうか、突発的な企画だと周知も計りにくいし、この時期にこのイベントがあるよ、みたいに年1回か2回かは分からないけれど、定期的に開いて、続けることがやっぱり大事かなと思う。今回は宮城で開催したけれど、山形にニーズがあるんだったら山形で開いてもいいなと思う。東北支部として広く構えられたらって思う。

伊藤:その通りだと思います、本当に。今日は貴重なお時間ありがとうございました。

ひめ:ありがとうございます。